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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

ノヴァーリスが死んだ日に


ノヴァーリスという作家に対する憧れはいつからだったろう
「ドイツロマン派」という響きや、
ノヴァーリスという音そのものの響きもあったかもしれないが、
とりわけ、その代表作である「青い花」という作名に憧れていた。

とはいえ、この作家の作品を読んだことは今までなかった。
僕は大切なものは後回しという性癖があり・・
これは結局損をしてしまう思考パターンなのだが、
ともかくノヴァーリスに至る前に色々な回り道をしていたのだ。

そして先日3月25日。
たまたま家族が実家に帰っていたため、
週末に読む本を探していて、購入したのが

ノヴァーリス青い花
ジョルジュ・サンド「愛の妖精」
グリム童話
アンデルセン童話集
ヘッセ「幸福論」
ディケンズ短編集
ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟

もともと気になっていた本をまとめて買ってみた
ちなみに記載している順序は、僕がタイトルに対して
抱いていたドキドキ感による・・

僕は自宅の最寄り駅のレストランで食事を待ちながら
ノヴァーリスの「青い花」のページを開いた

最初に書かれていた献詩の言葉に、うっとりしてしまった・

「ぼくの至高の感覚がまだ眠っていたとき、
 歌の力は天使となって舞いおりて、
 目覚めた僕を腕に抱き、かなたへと飛翔した。」

物語は夢の中に、それも清浄な夢の中をひたすら歩むがごとくだった。

興奮をひとまず落ち着けて、僕は本の最後にあるノヴァーリス
人生について読んだ。
物語は、家に帰ってからのお楽しみとして。

22歳で役所行政見習いとなったという。
僕も22歳で公務員となったため、なんとなく重ねてしまった。


そして次のページで、ノヴァーリスの人生は終わっていた。

それは1801年3月25日ノヴァーリスが29歳の時であった。

僕は、震えた。
僕が「青い花」を読んでいたのは、3月25日である。
さらに、僕は29歳なのだ・・

青い花」は未完の作品である。
ノヴァーリスにはあまり時間がなかった。
青い花を書きながら健康状態は悪化していた。
さらに、公務員としての多忙な日常もあった。
婚約もしていた。

僕は、落ち込んだ。
僕が書きたいと憧れる文章が、既にあったことにも、
それを書いた作者が、今の僕と同じ年齢であったことにも。

だけど、僕は3月25日に生まれたのだと考えよう。
ここから、始めるのだ。

「愛の国は門をあけ、
 ファーベルは糸を紡ぎだす。
 あらゆる自然の本源が活動をはじめ、
 力強い語調でかたるとき、
 大いなる世界の心は、ここかしこ呼び覚まされて、
 限りなく花をほころばす。」