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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

子供ができた(かもしれない)

この文章を書くのは、僕はいつか「今日」を
思い出したくなる日が訪れるかもしれないからだ。
今日の僕の気持ち、今日の僕の見た景色。
それをもしかしたら、伝えなければならない日が来るかもしれないからだ。

今日は不思議と朝早くから目が覚めた。
予報と違いとても天気のよい空を見て、
出かけようと思った。

奥さんはまだ地元に帰っているから、
どうせなら一人を満喫できるような場所を。
二人では行けないだろう場所を。

探したんだけど、午前中いっぱいかかっても思いつかない。
行きたい場所は浮かぶんだけど、
どうせなら奥さんと一緒に行こうって思ってしまって、
決断がつかなかった。

そうこうしている間に昼を迎え、
僕は結局自転車で行ける近所のモスバーガーを目指した。
日差しは強く、風は気持ちがいい。
お気に入りのTシャツに春コートを着て、
ipodを装着して僕は自転車をこいだ。

近所のモスバーガーは、少し目立たない場所にあって、
昼時でも混雑していない。
僕はいつものようにモスバーガー・オニポテセット・アイスミルクティー。
食事をしながら、「地球の歩き方 パリ」を読んでいた。
あと2週間もすれば、僕と妻はパリを歩いているのだ。

憧れていたジヴェルニー、エッフェル塔、オペラガルニエ・・
今日みたいなあ天気だといいなあと思いながら。
二人で行くのだから、結局行動自体は日本を変わらないのだろう。
僕等は歩いて、食べて、時々話し、時々沈黙する。

食事を終えて(やはりモスバーガーはうまかった。)
ブックオフNARUTOを読んで、図書館で本を借りた。
自分の持っているものとは別のフランス旅行ガイドだ。

図書館の近くにあるレンタルショップでは「ティファニーで朝食を
を借りた。
うかれている。もうフランスにいる気になっているのだ。
ティファニーで朝食を」僕は実はまだ見たことがない。

名作について、いつか見る機会があるだろうと思って
見ないままだということが僕には多い。
先週はいまさらダヴィンチコードを読んだところだ。

それにしても・・さっきDVDを再生したところ、
DVD自体に大きな傷があるせいか、うまく再生できなかった。
なんとも、こちらから歩み寄ればこの有様だ。

なんの話だったか。
そうそう、ファーストフード店→ブックオフ図書館→レンタルビデオショップ
という、文科系男子ならばおそらく共感してもらえるだろう行程を
僕はひととおり体験した後、
不意に知らない道を走りたい衝動にかられ、
図書館の裏道から奥へ奥へと進んでいった。

どこまでも続く団地には、ほとんど人の気配がなく、
僕は現実感を失いながら進んでいった。
人間の見えない住宅街は少し不気味で、
だけど懐かしくもある。
僕は18歳までを団地で生きてきたのだ。
なんともいえない寂しさ、と同居する開放感って感じ。

ふと携帯を取り出して見ると、公衆電話から着信が2件。
そういや奥さん携帯の充電器忘れてたからなあ、
公衆電話じゃかけなおせないな、

再びあてのない疾走。

だけどいい加減暑くなってきちゃったので、
夕食の食材を買って帰宅した。
あさり水煮・ほうれん草・にんにく

帰宅してからは、借りたDVDを見ることもなく
パソコンでドラクエ6を(今更)すすめていた。
まだホイミしか覚えていない。
主人公の名前がシオンなのはもちろん
先週読んだダヴィンチコードのおかげだ。

そしてドラクエをやりながら僕はうたた寝をしていた。
目覚めると夕方6時。
携帯にはまたしても公衆電話からの着信が。

お腹も空いてきたので、夕食を作ることにした。
簡単で、しかも元気のでるやつ。
ボンゴレビアンコ・ほうれんそうたっぷり添え。

久しぶりに作ったけれどおいしくできた。
あさりってなんておいしいのだろう。

食事を終えて一息つくと電話が。
今度こそ、と思いながら電話に出ると
やはり奥さんだった。

お互いの一日の過ごし方について一通り話した後に、
「調べなきゃいけないことがあってね。」


何だかとても話しづらそうな彼女から出た言葉は意外であった。
「妊娠の検査薬を使ったら、陽性反応が出たんよ。」

その時僕がどんな気持ちだったかというと、
実はほとんど現実感がなくて、
喜びとか、戸惑いではなく、
ただいつもの会話のように、
反応していた。

僕の子供が・・不思議だ。
まだ確定したわけじゃない。
答えが出るのは来月になってからなのだが、
可能性は高い。

最近お腹の調子を崩していたのだ、彼女は。
疲れやすくなっていたし。

ひとまず僕はいつもと同じような声で会話を続け、
そして会話を終えた。

少しずつ、しかし喜びに似た、むずがゆい気持ちが今起きている。
もし妊娠が確定ならば、子供の誕生日は12月だ。
医療の仕事をしている奥さんの姉のお墨つきだ。

12月。
少しずつ、少しずつ、実感はわいてくるのだろう。
彼女のお腹では僕の喜びも育ってくれるのだろう。

その時僕は、なにを思うのだろう。
何が変わるのだろう。
分からないけれど、

「未来」

それが僕の手にあることを強く感じた。