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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

結婚式

いつも休日の始まりには、何かをしようと誓うのだけれど。
結局なんにもしないままに一日と一日は暮れていく。
休日のこの時間は、妻が仕事に出ている時間だから、
僕はこうやってまただらだらと文章を書いたりする。

疲れている彼女へ、なにか料理を作ろうと思いながらね。

仕事が一段落した先週、ようやく僕は僕の結婚式について
考える時間が取れるようになった。
もちろん今までだって、時間がなかったわけじゃないけれど
落ち着かなかったからね。

結婚式は、4月29日に福岡のリーガロイヤルホテルで行われる。
身内だけの小さな結婚式だ。
30人弱の人数で、おとなしい結婚式をするつもりだ。

しかし結婚式・・実は照れくさかったりもする。
それはきっと、
妻の前の僕と、家族の前の僕と、妻の家族の前の僕とが、
別々だからだろう。
きっと本番では3つの僕の表情がぎこちなく写っているんだろう。

物事に緊張しすぎる妻と、まったく緊張しない僕
だけど今回は僕も少しは緊張するのかもしれない
その理由は

父親が来るからだ、僕の。
母子家庭で過ごした10年あまり。
だから10年ぶりの再会ってやつだ。

どんなことを話すのだろうか。
僕等は、もしかしたら他人のような行儀よさで、
スムーズな会話を交わすのかもしれない。

いや、僕の記憶では父親はそう器用な人間ではない。
僕と違って、父親はひどく緊張するような気がする。

僕と父親は小さな頃から、ひどく顔が似ていて、
だからこそ同じような性格に育つんだと皆から思われていた。
父親の性格、言葉に表すと

頑固・気難しい・寡黙・人付き合いが苦手・話下手

そんな性格で、父親は社長だったのだから、
部下の苦労が今ではなんとなく分かる。
父親は家庭でも職場でも孤独だったのだ。

そんな父親の影響を、僕はしかし受け継がなかったようだ。
父親に比べると、ずいぶんうまく人と付き合うことができていると思う
その分、父親の持つ美点をずいぶんと犠牲にしながら。

寡黙な父親は、母との結婚式の最後のスピーチで緊張してしまい
「ありがとうございました!」としか言えなかったそうだ。
僕はきっと、言葉を尽くすだろう、スピーチで。
父親の苦手だったことを、あっさりとやってやりたいと思っている。


僕は父親に可愛がられていた。多分。
だけど母親は父親と仲良くなかったから、
できれば父親と母親が一緒にいるところに、僕はいたくなかった。
父親を責めることしか、母親は知らなかった。
それは僕ら兄弟も同じで。
少しずつ父親の居場所を、奪っていったんだよなあ、みんなで。

それが、別れて10年もすれば、過去のあれこれは
ほとんど記憶からなくなっており、
それなりに楽しみにしているのだ、再会を。
僕も、弟も、妹も、とりわけ母親が、そしておそらく父親も。

僕は当日、幸せであることを父親に伝えたいと思っている。

それは、少しだけ残酷な、僕の願い。