読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

TO BE FREE

〈自分になる〉ために

ボクらはいくつもの夢を見る


イノトモ
日本クラウン

このアイテムの詳細を見る

今日はずいぶんと涼しくなって、
もう秋はすぐそこなのだということを
とても嬉しく感じた。
これからはひたすら春に向かっていくという、
プラスの日々だろう。
僕のバイオリズムは単純だ。
春に向かって上昇していき、夏に落ち込む。

今日は来週から移る新しい住居の下見に行った。
会社からあてがわれた宿舎だったので不安はかなりあったのだが、
結果は満足いく部屋だった。

6畳×2部屋 4.5畳×1部屋 キッチン トイレ バス
二人で暮らすには十分だろう。
そして僕が気に入ったのはベランダからの景色だ。
目の前には幼稚園があって、そこに大きな桜の木が見えた。
団地の中にある静かな場所だから
しばし外を眺めながらボーっとしていた。

来年の春には桜が咲くだろう。
そして静かなこの部屋で好きな音楽をかけながら
恋人と桜を見るのだろう。
甘やかな香りと優しい陽光に包まれて。

お気に入りのベーカリーで買ってきたパンを食べ
お気に入りの紅茶を食べながら僕らは
他愛のないことばかりを話すのだろう。
穏やかに続く日々には幸せしかないような気がしている。

「そんなことないよ」
「甘くないんだよ」
そんなことは今は言わないで、分かってるから。
今は、涼しくなって完璧に前向きに生きていけそうに思い込んでるんだ。
幸せになれるという思い込みもまた、いいものでしょう?

秋が来るのに春を思う僕は
今日久しぶりにイノトモの「夢」というCDを聞いた。
イノトモ湯川潮音の空想音楽会にゲストとして参加しいていた
アーティストで、その優しく甘い歌声は僕にとってはまさに春だ。
湯川潮音は少女的な純粋で残酷な「負」の要素を持っていて、
それに僕はたまらなく惹かれるのだけど、
全く違った意味で純粋にさわやかで明朗な幸せを感じさせてくれる
イノトモもまた僕にとっては大事な音楽だ。

僕は、そういえば自分の好きな音楽や映画を
恋人と一緒に触れてみたいと思うんだけど
それはいったいどういった気持ちから来るのだろうか。
それは恋人のためとか、そういうものとは違うんだよね。

エゴだ!
分かってるんだけどさ。
きっと僕はそうゆうシチュエーションが好きなんだ
素敵な音楽の中に僕と恋人がいるという環境を
外側から眺めて落ち着くようなタイプだ。
世界はとても騒がしいから
僕はなんだか二人だけの世界にあこがれてしまう。

それで恋人はどうかっていうとそんなことは全くないのだ。
二人きりでいたいとか
ロマンティックを感じたいとか
思っているのはきっと僕ばかりで
恋人はそんなことはどうでもいいから
美味しいものでも食べようよってタイプで
なんだか僕はそうゆう感じが好きなんだ。

このどうしようもないすれ違いには
愛情を感じるよ。
隣であまり意味のない思想にふける僕を
理解しないだろう彼女には愛情を感じるのだ。

共感や、執着を超えたところにも愛情はあった。
そして僕は心の中でクスっとしてしまう
このクスって感じが幸せなんだよなあ。

結婚はとてもつまらないもの
よく言われることで、僕も理解はする。
だけどそのつまらなさやマンネリにこそ
ノスタルジーが生まれたりする。

僕が思い出して切なくなるのは
文化祭や体育祭や家族旅行ではなくて
実家の畳の香りや
学校の放課後の廊下や
大学の近くの図書館のベンチや
そうゆうありきたりなものだ

思い出作りに奔走するまでもなく
僕と恋人にはこれから多くの思い出が生まれるのだろう
それは春の香りに包まれていたりして
また僕に生きていく力をくれるのだろう
思い出は僕にとっては生きていく力だから
それをこれから恋人と作っていけることに
感謝せずにはいられない


アルバム「夢」より



キミの空 ボクの空 にじんでゆれる
風が吹いて ボクたちを どこへ運ぶ

流れゆく風景に ボクを照らして
ひとつ ひとつ やわらかくほどいてゆくんだ

見えない ただ知ってる 果てしなく続く道を
一緒に どこまでも 歩いてゆきたい

いつしかボクたちが 生きてた証さえも
大きな時の流れに 溶けてゆくんだ