TO BE FREE

〈自分になる〉ために

ホームドラマ(プロット)


昨日は、会社の先輩の実家にお呼ばれした。
大きなお祭りと花火大会があるということで、
昼から集まってバーベキューをした。

先輩の父親は僕の会社の偉い人で、
父親の関係者も数人来るし、
なにより先輩は女性で、
女性の実家に行くというシチュエーションに
なんだかソワソワした。
恋人の実家に行くときとはまた違う緊張。

僕は最近小説を書こうと思っていて、
その影響かこういった多くの人間が集まるイベントでは
それぞれの個性・役回りを意識せざるを得ない。

登場人物

厳格な父親
豪快な母親
頑張りやの長女(先輩)
おとなしい次女
活発な三女

父親の友人×3
父親の友人の子供×3
長女の会社の後輩×3(僕含む)
僕の同期
次女の大学時代の男友達
そのバイト仲間
次女の彼氏



といった構成で進んでいくストーリー。
ストーリーの核には「家族」がある。
ホームドラマだ。

大きなイベントは
母娘の本気の喧嘩
だらしない大人をしかる長女
サプライズ的に彼氏を父親に会わせた次女
目の前で打ちあがる花火

・・これだけで一つの小説が書けそうだ。
僕はといえば、少しだけ存在感を見せる
サブキャラクターだったと思う。

そう僕自身を一つのキャラクターだと仮定すると、
物事に対するストレスは格段にへる。
昨日、父親の友人に僕は嫌味をいわれた。
ネックレスをつけている僕に対して
「そんな人間は僕よりレベルは低い」と言ったのだ。

だけどその瞬間、
その言葉を吐く以前に
「女性は全て家庭に入って子育てをすべきだ」
と言いながら本人は50歳にして独身で、
「僕はこの職場に入っていなければ料理人になっていたと思う」
と言いながら焼きソバ作りを一手に引き受け
「俺の焼きそばは最高だから」
と言いながら振舞われた焼きソバが
塩辛くて誰にとっても美味しくはなかったこととか、

そんなことを思い出して、
頑固・独断的・孤独・コミュニケーション不全
という彼のキャラクターを定義してみて、
「君のレベルは低い」
という彼の言葉についても、
類型的な言葉なんだなあ、、と納得してみて
まるで人事のように聞いていた。

コミュニケーション不全の人間はしばしば人をしかる
沈黙が怖いくせに、話す言葉が見つからないのだ。
そして僕はそれを受ける役回りだったというわけだ。

夕方、花火大会が近づいて
美人三姉妹は浴衣に着替えた。
日舞の先生である母親のもと、
やはり着こなしは素晴らしい。

夕方からは、ほとんど三女と一緒に話していた。
三姉妹の中でも一番美人で、性格も明るい彼女に
彼氏ができたことがないこと。
今日来た次女の大学時代の友達に期待していたけれど
好きなタイプじゃなかったこと。
好きな人の前では話せなくなってしまうこと。
だから話してくれる人が好きだということ。

そんな話に、僕は僕なりに応えていった。
こうゆう話をするのを僕は好きで、
それは正しいか分からないけれど
僕なりの考えがあって話すことができるからだ。
20歳になったばかりの彼女にとって
それらの言葉をどう受け取られたかは知らない
けれど三女の表情は最後まで明るかったから
それでよかったのかもしれない。

それにしても感じたのは、
この三姉妹の彼氏はかなりしんどいだろうということだ。
家族の仲はかなりいい。
三姉妹とも社会人だが実家にいて、
休日も一緒に過ごしている。
だから
彼女たちの理想は
「家族の中にうまくとけこめる人間」
なのだ。
先輩いわく
「家族に溶け込める話術と知性が必要」

次女の彼氏は、おそらく優しい男なのだろうが、
緊張のせいもあってほとんど沈黙だった。
誰かが会話をふってもだめだった。
彼が席を立つと
長女と三女は批判を始める。
そう。恋人ですら各々の属性ではなく
「家族」の話題になるのだ。
たえまない批評。

僕はおそらく表向きには昨日は
かなり家族に溶け込めていたけれど、
仮にこの三姉妹の誰かと付き合っていたとしたら
いつかはその批評を気にして沈黙してしまうかもしれない
表向きには厳格な父親が娘の彼氏に厳しい目を向けているのだが、
その裏では母娘による批評が大きな影響力を持つ。

その最たる支配者は先輩である長女だろう。
僕は先輩のことを好きだ。(恋愛とは違った意味でね)
先輩も、僕を気に入ってはくれているけれど
恋愛の相手としては絶対に選ばない(実際口に出している)
なぜか僕が女に軽いというイメージをもってしまったらしく・・
「これだからAB型は・・チッ」とか言われる(笑)

だけど難しいと僕が思うのは
家族とうまく話す(つまり三姉妹と溶け込む)タイプの人間で
かつ恋人だけを大切にするタイプ(浮気の要素はない)タイプの人間に
矛盾を感じるからだ。


なんてこと先輩に言えるわけはないけど。


そんなことを思いながらも
花火はとても大きく美しく
だけど周りで歓声があがるたびに、
そこまでの興奮に至らない僕の
感覚的インポテンツを思った。

僕は
少しだけ離れて世界を見ている
自分の感情が
ずれてしまう。
先輩は昨日怒ったり泣きそうになったり喜んだり
そんな彼女を見て
僕は自分の不足を感じた。

「家庭」
それに僕はなじめるのだろうか。