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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

未来が見えましたかお母さん

cure jazz
UA×菊地成孔
ビクターエンタテインメント

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UA菊地成孔のよる夜のアルバム「cure jazz」をききながら
何かをしなければならない
だけどうすぼんやりとした光をつかむことはできずに
今日も部屋でまどろみの中過ごした
肌寒き夏の日に
空はあくまで暗く
僕の心は
沈んでいた

世界に向けて放ちたい僕の精神は
身体からわずかに染み出すばかりで
形を成さない
悩むことで安心したりする
それが前進でないことには
とても苦しい思いがある

恋人と4週間会えない
初めてのこと
結婚まであと少し
新しい住居も決まって
手続きはおよそ済ませて
あとは来年の式と旅行の準備だというタイミングで
親からの反対を受けた

女性が占いに動かされやすいことを
僕はある程度尊重する
「ある」も「ない」も僕にはない
僕は「ありえる」という領域で浮遊している
だけど母親の電話はあまりに断定で
僕は少しだけ恐ろしくなった
子供の頃の
「そんな遊んでいたらろくな人生歩めないよ」とか
そうゆうありがちな母親による断定
それをもちろん信じるわけではないが
言いつけに反することは
なんだか罪をおかしているような気になるものだ

占い師に恋人の母親の鬱を指摘された
それで全ての言葉は母親にとって信じるに値した
まとめると

・僕は上司にかわれていて25歳から29歳までは出世するので仕事に専念すべき
・29歳くらいで上司からいい縁談を持ちかけられる
・今の恋人については母親と同じく鬱になる
・今の恋人のことを息子(僕)は知らない
・今の恋人はわがままで気の強いところがある
・僕の結婚を止められれば弟の結婚も止まる(母は弟の結婚には反対している)
・年内の結婚は絶対に避けるべき

その言葉は母親にとっては未来が見えたに等しい重さを持つ
恋人について賛辞のみを述べていた母親は、
突然手のひらを返した

そして僕は結論を下した
あいまいに返事をしながら
「それでも僕は恋人を選ぶ」
と誓った

精神的な支配はもはやとかれている
僕は言いつけを破る自由がある
言いつけを破って不幸になる自由さえもある

予想がつくのは
この占いによって
母親は恋人に悪い先入観を持ったということ
これからわずかでも不幸があれば
占いを省みなかった僕を母親は責めるだろう
これからの大きな幸せについては
「でもいつか不幸になる」と
母親は心配するだろう

占いは心理的支配によって
あらゆる事象の解釈を
方向付けるにすぎない
「幸せになる」といわれれば幸せになりやすい
『不幸になる』といわれれば不幸になりやすい
思い込みによって

僕は
仮に結婚によって出世を逃しても
母親と不和になっても
かまわない

ただ恋人が鬱になってしまったら
悲しむだろう
だけど
それでもそばにいたいんだ