TO BE FREE

〈自分になる〉ために

カルピスホワイトラヴァー

会いたい誰かがいないことのほうが、
会いたい人に会えないことより、
ずっと寂しいんだと言ったことがある。

今日の寂しさは
会いたいと思ったときにはもう
とっくに別れは来ていたのだと気付いてしまったから

卒業アルバムは部屋の前に置かれていた
2005年8月より2006年3月までの記録

思い出すのは恋についてばかりで
僕は2004年の恋愛を思い出している
アルバムを見て彼女は
僕を思い出すだろうか

10代の恋愛を思い出すときのようなやるせない
けれどもう訪れないことを知ってるから悲しくて
子供っぽい気持ちで
僕は好かれたがった
恋についての悩みを聞いて
まるで恋愛の達人のような顔をしていられたのはつまり
僕は僕の恋愛について語る場が欲しかったから

記憶に残るのはいつだって
恥ずかしいくらいに幼くなる僕のこと
それにとまどいながらも
僕を傍に置き続けた女性は
今は誰に話を聞いてもらっているのだろう

2004年8月から9月にかけて最高に近くにいられた僕等は
何もなかったような顔で生活を続けている

「恋人ができても、
 話を聞いてね」

「待っていても
 私は何もしてあげられないよ」

「yoshkobは
 大丈夫だよ
 私を忘れるよ」


僕は忘れられなかった
最高の恋人がいるのに
ふと思い出してしまうのは
とても甘く息もできないほどに切ない
失恋だ

「誰でもいいの、恋愛は」
という彼女と
「誰でもダメなんだ、Mじゃないと」
という僕の
どちらが子供だったかということを
いまさらながらに思う

僕がMを断ち切れなかった理由
Mが僕を手放せなかった理由

お互いが示し合わせたように手を離した理由



考えるのはやめよう

いつの日にか僕はMと会うかもしれない
その頃には僕は結婚しているし
Mも何かしら変わっているだろう
その時に、まるで過去のことを
他人事のように言う僕やMがいたら
それはとても悲しいことだ
注がれないティーカップのようだ
それでも僕はきっと他人事のような顔をできても
相変わらず思い出すのだろう
都合のいい解釈でもって過去はとても美しくなった
嫉妬ですらも美しいロックンロールミュージックのように
鳴り響くのだろう
君は感じる?
ごめん僕はもう昔のように「話聞くよ」だなんて言ってあげられない
と言いながら「話聞いてよ」といわれることを待っていたりするんだ
愚かしいこんな気持ちを抱えているのが僕だけだなんて言うなよ皆

ああ、
8時だ。
恋人は今何を考えてるんだろう
僕は電話をしよう
毎日充電が切れるまで電話するのは
そこが唯一何物にも邪魔されない恋愛の場だからだ
電波の中にはロマンティック
それでは