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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

宛先を書かないラブレター


雨の降る
灰色の空気の中に
君を想う
幸せに彩れるそのくちびるに
いまは少しも近づけてはいないけれど

君のいない僕が
どうやって生きてきたのかを
僕はもう忘れました

愛情は日常
ベートーヴェンの10番を
ロストハウスを
ハチミツとクローバー
そして何物よりもの君を

世界に向けて
投げ放たれた
大きなりんごのよな
大げさな彩りで
僕は
君を想う

君には決して届かない
この言葉を
それでも
僕は投げかける

世界は僕らを残して
進んでいくだろう
世界を僕等は今ほど
望まなくなるだろう

誰かが憎しみで殺される
誰かが苦しみに殺してしまう
そんな世界にあってなお
幸せだと
僕等は言い続けなくてはならないだろう

約束で結ぼうとしているのは
気持ちではない
愛情を形で示すためでもない

ねえ、君
僕は全てを愛せる気がするんだ
世界を僕は君の面影なしに見ることはできないから

憎しみにすら
愛情を重ねてしまう僕を
宇宙は笑うだろう

「そんなもんじゃねえよ」

空は僕に語りかける

「それでいいと思います」

僕は神様に話しかける

恋人だけにしか
伝わらない言葉を
僕は探すことで

僕は意味を持った