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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

過去をひきずりがちな僕の歌を

逆上がりの国
湯川潮音
メロディー・スター・レコーズ

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「yoshkobさんのキーワード的なものを考えたら、
 紅茶が一番に出てきちゃったから。」


「一客で贈るのはなんだか嫌で、誰かとお茶を楽しむときに
 使ってもらえればいいって純粋に思います。」


昨日、早速いただいたストロベリーティーの感想を
Sさんにメールした。
その返信で語られた言葉は、
僕からは問われない疑問への回答だった。

「正直、それを見るたびに私のことを見つけ出すようなものを
 贈ってよかったものかどうか・・今も不安で」


「思い出すためのティーセットではなくて、ばんばん使ってもらって、
 そういうんじゃなくしてもらえたらいいなって思います・・」


僕は、その言葉に対して、

「ティーセットの連想させる思い出は、幸せな思い出だよ。
 うん。それでいいと思う。
 それ以上は考えない。大事に使うね。」



僕はきっとこのティーセットでずっとSさんを思い返すだろうし、
割れたりしたら、とても悲しむと思う。
こうゆう、甘い思い出を持った品物や音楽や、
そんなあれこれで僕の持ち物は出来上がっている。

僕は過去に生きることを、厭わない。
それが全て甘い過去になると知ってるから。

僕がもらったティーセットの片割れを使うとしたら。
(すでに片方は使っている)
それは恋人とお茶をするときではないだろうか。

その「いつか」を考えると、
ちょっと切なくなった。

僕にも恋人にも、たくさんの可能性があった。
受け入れられなかった恋、
始まりもしなかった恋、
始まろうとしていた恋、
そんなあれこれが、
向かい合う僕と恋人の間に甘く横たわっている。

僕は恋人とティーセットでお茶をするときに
どんな顔をするだろう。
赤いメリーゴーランドと、
恋人を、
矛盾だと思うのだろうか。
幸福を感じるのだろうか。

たとえ現実が幸福であれ、
人は思い出に触れると切なくなる。


ああ、そうか。
僕は早くも思い出にしようとしているのだ。
いままでのように、
これからのように、
全てを美しい最後にしてしまおうとしているのだ。

湯川潮音を聴くとき、
赤いメリーゴーランドを見たとき、
ジャスミンティーを飲むとき、

多分僕はまたステージで歌うSさんを思い出すのだろう。
矢野顕子を歌う、笑顔の彼女を。
世界に対峙していた彼女をね。
大きく深い瞳とともに。



僕は、誰よりも幸福な人生を送っているような気がしてしまう。
そんな時があるんだ。

それは、たとえばこんな・・


「ああ どこへ向かっているんだろう
 もう君には逢えないのかな?

 うごめく声の裏?
 感情の渦の中?

 朝と夜がすれ違って
 別のものになる そっと

 私と私もすれ違って
 別のものになる そっと」

湯川潮音
「3:15」より