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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

あなたのことを感じるすべてで

風と空のキリム
MY LITTLE LOVER, 小林武史
トイズファクトリー

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あなたに逢えたことがいちばん
今まででうれしいと思った
かんしょの緑が揺れる音の
その先に沈む夕日を見たとき

いい事だけの空気を吸おうよ
いらないものは持たないでいいよ
多分全部は無理だと知ってる
だけど希望が込み上げてきてる

どうして光さしてくるの
訳もしれずに涙こぼれる
あなたのことを感じる全てで
からだをとりまいてる空気まで

海が夕日でざわついてきたら
高まるここポケットに詰めて
今日はここを離れていくけど
イメージの中には花が咲いた

どうして人は生きていくの
問いかけてたら涙にじんだ
あなたのことを感じる全てで



以上、連夜にわたるマイラバの楽曲の歌詞から始まる。
今回は「風邪と空のキリムより」
文章を書く上でのセオリーとして、
個人的な趣味の楽曲を載せることは避ける、ということがあるらしい。
だけど、僕のように、あらかじめ書くことが決まらないときには、
その時に聴いている、もしくは聴きたい歌の歌詞を引用したりする。
そして書いているうちに、書きたいことがまとまったりする。

今回の歌詞は、恋の詩だ。
この歌のメロディを聴いていたとき、
僕はひとつ前の恋愛の中にあった。

「恋人のことを想って、電車で泣くことがあるよ」

それを聞いて、僕はその恋人に対する嫉妬そいうよりは、
そうゆう気持ちに触れることのできた喜びの中に入った。

恋の涙は、
女性の美しき涙は、
僕は愛しむべきものだと思う。

涙が美しく、
怒りが気高く、
喜びがそのまま希望であるのは、
もしかしたら若さの特権かもしれないな。
若者の自殺が、不謹慎だけれど情緒的だということと同じ意味で。

生活に苦しんだり、
下手に卑怯になってみたり、
そしてそうゆう醜さにも気付かなかったり、
大人は聖なる存在とは遠くなってしまうのかな。



「どうして人は生きていくの
 問いかけてたら涙にじんだ
 あなたのことを感じる全てで」

こうゆう残酷な問いかけこそが美しさだ。きっと。
僕は美しさがとても切ないことだと思ってる。
明朗で希望に満ちた一面の裏側にはきっと、
失われることへの恐ろしさや疑問がある。

僕は恋人といるとき、
たとえば今の文章のような空気で話はしない。
恥ずかしくて人には見せられないくらい、
甘えるし、愚かだし、下らないかもしれない。

だけど、あの子と話すときが一番笑っていられるのだ。
毎日毎日、同じような話を繰り返して、
僕らは笑いあう。
時々
「好きだよ」、とか「大好きだよ」、とか言いながら。

そして、馬鹿なことを言い合って笑っているうちに
ふと今の奇跡を思って、
同時にこの幸せがなくなることを思って、
涙滲みそうな瞬間がある。

だけど、それもやり過ごしてまた笑う。

恋人はどうだろう。
僕の知らないところで泣いているかもしれない。
それは美しい涙だ。
拭う手を求めない、
崇高な涙だ。