TO BE FREE

〈自分になる〉ために

四月物語のような、思い出。

四月物語

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今日、あれから髪を切りに所沢へ出た。
終えたら、池袋へ行くつもりが、
やはり元気がないので、動かなかった。
何となく、所沢の、裏道を歩いた。
ずんずんと。

プロペ通りを抜けると、一気に店がなくなる。
街灯も少ない、真っ暗な通り。
ラブサイケデリコを聞きながら。

突然、「だるまさんが転んだ」を思い出した。
きっと、その通りが僕が小さい頃に遊んでいた場所に
似ていたからだろう。

「だるまさんが転んだ」
この現実にはありえない言葉を唱えることによって、
現実が異世界へと変わる。
異世界とは、鬼の世界だ。
人間界は、異世界が顔を出したときには、時間が止まる。
にもかかわらず動いたものは、
鬼の世界に連れて行かれて、殺される。
たしか、この遊びの起原はそんなものだった気がする。

唱えてみた。
「だるまさんが転んだ」
そして、暗がりを歩き出す、ずんずんと。

来るなら来い、鬼。
来て、僕を人間界から連れ去ってくれ。

しかし鬼は来なかった。
普通に歩いているおじいちゃんとすれ違って、
現実を取り戻した。
つまんねえの。

帰りがけにCDショップで迷った挙句
BELLE$SEBASTIANのアルバム「フルキズ・ソングス(邦題)」を買った。
ああ、超楽しみにしていたCDだ。
シングルは決してアルバムに入れなかった彼らが、
Jeepster時代のシングル曲を全部入れた
ベストアルバムだ。
シングル全部買おうかと思っていた矢先だったし、とても嬉しかった。
また金が飛んだ・・最近財布が厳しい。

そして帰りがけ、レンタルビデオショップで借りた。
1.四月物語
2.tokyo sora

近所のレンタル屋は、とても小さいが、邦画を選ぶセンスには目を見張るものがある。
たった一つしかない棚の一枠に、岩井俊二作品を集めたコーナーがある。
最近、岩井作品である「リリイシュシュのすべて」を見て、
衝撃を受けて、ぜひ全部見たいと思っていたのだ。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
を借りたかったのだが、貸し出し中だった。

それで借りたのが「四月物語」である。
さっき見終えた。

いやーよかった。
一時間くらいの短い作品なのだが、
とても心地よい作品であった。
リリイシュシュに見られるような、映像の美しさと、
あまりに普通で、地味ながらも心に響くストーリー。

この作品は、大学進学で上京した女の子(松たか子)の生活が描かれている。
凄く懐かしい気分になった。

入学式のサークルの勧誘
食堂のざわめき
桜舞う道を自転車で走る
一人暮らしの空っぽの部屋
友達
本屋
片思い

岩井作品はどうしてこう懐かしい気分にさせてくれるんだろう。
リリイシュシュのような痛い思い出も
四月物語のような暖かい思い出も

スワロウテイルのイメージから、SFや異世界を描く監督だと思い込んでいたのだが
実際は、過去を美しく描くことができる監督なのだと思った。
それもリアルに。

好きなシーンは、松たか子演じる主人公が、
雨のふる中、大好きな先輩から赤い傘を借りて、
「わたしには・・」と言いかけてやめるシーン。
とても美しいシーン。音楽とあいまって。

見てみてください。
きっと幸せになれるから。
恋って本当は、あんなに幸せなものだったよなって、
思い出せるから。

「でもどうせ奇跡と呼ぶなら
 私はそれを
 愛の奇跡と呼びたい。