TO BE FREE

〈自分になる〉ために

プレヴェールの歌を、うたっていた。

ベル・エポック (1)

集英社

このアイテムの詳細を見る

ロバと
王様とあたし
あしたみんな死ぬ
ロバは病気で
王様は退屈で
あたしは
恋で

寺山修司の詩。


恋で死ぬ。そんな思いをかつてしたことがある。
それは学生時代、研修時代、
好きな女性の周りに男がいるとき。
友達でも、明らかに恋愛対象でないものでもかまわず。

嫉妬のない人は恋をできない。
だったら、嫉妬できる状況になければ恋は消滅してしまうのか。

I
彼女と僕の職場は違う。
共通の友人もほとんどない。
会うときは二人きり。
だから、嫉妬などしない。

怖いんだ。こうして感情を揺さぶられないままに
気持ちをなくしてしまうことが。
いい子だ。すごく。
気を使ってか絶対に男の人の話はしない。
でも、ちょっとは揺さぶって欲しい。
嫉妬させたいと思って欲しいんだ。


M
さっきまで、前好きだった女の子と電話していた。
楽しかった。
もうお互いに安心しきっていて。
「明日、職場の先輩とバッティングセンターに行くんだ」
「私から誘ったんだ」
と言われて、びっくりするくらい重たい嫉妬が、
胸におりそうになって、しばらく無言になりながら何とか取り繕った。
そうゆうことを普通に言うMは
きっとそれ故もてるんだろう。
彼氏も心配になるよな・・
彼氏は転勤でアイルランドへ行くらしく、
「心配だから付いてきて欲しい」と言われて
断ったらしい。
「一ヶ月前だったら付いていってたかもねー」と。
一ヶ月前は、結婚願望が絶頂だった頃らしい。
今は落ち着いてしまったらしく。
「リアルになると結婚なんてできないわー」
「いつかって思うから楽しいのに」
彼氏よ・・この子を残してアイルランドへ行くのはさぞ心配だろう。
とはいえ、Mの言葉を表面だけで捉えられない。
そこに含まれているのは、

いつか彼氏と会えなくなる淋しさや、
淋しいのに、全てを彼氏にゆだねられない苛立ちや、
それを昔告白してきた男に話している自分への嫌悪や、優越感や。
僕が、嫉妬と慕情と友情と色んなものをない交ぜに話しているように、
Mも、色々思うところはあるんだろう。
強がって、無理して、頑張ってんなあ、俺たち・・

わかんないや。
好きなんだろうな相変わらず。
Iと出会ったきっかけは、Mから「会えない」と言われていた時期に
頻繁にしていた合コンで出逢った。
次に賭けてみようって思ったんだ。

簡単に全て毎回リセットできないよ。
ひきずるんだよ。

このあたりの男の微妙なわがままについては、
逢坂みえこのコミック「ベルエポック(1)」の、
石橋君が見事に代弁してくれているので、
よろしければ読んでみてください。

夏になったらミニスカートを見せてくれるというMだったが。
「ごめん、彼女いるから」っていつか言ってやりたい、
という中途半端な復讐心もあるんだ。