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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

迷惑おばさんに出て行け!と発した僕の後ろに冷たい空気が。

早くも日曜の朝。今日は少しだけ早起きして、シャワーも浴びて、洗濯して。
余裕のある朝です。ホットサンドを作ろうとしたら(フライパン一個でできる)
ハムが切れていたので、昨日の夕食の残りの惣菜パンと、ヨーグルトと、お茶。
お茶はレピシエの「春ぽろぽろ」
ラズベリーの香りの緑茶です。不思議な味・・

昨日、久々にテレビをつけたらめちゃイケをやっていた。
そのなかで登場した「迷惑おばさん」というキャラが気になった。
最近はニュースも新聞も読まないので知らなかったが、
奈良で近隣の住民に騒音などの嫌がらせをしてえいるおばさんがいたそうだ。

思い出した。
ありありと。
あの、おばさんではなかったようだが。

大学のとき、僕の部屋の上の階にも迷惑おばさんがいた。
僕の一人暮らししていたところは、木造だった。
確かに音が筒抜けである。
しかし、そんなことは暗黙の了解で、
それなりに迷惑を掛け合いつつ暮らしていた。
そんなある日。

朝目覚めたら上の階から声がする。
「・・・そんなことやから浪人なんやろ!」
てっきり、親戚か息子に電話で怒っているのだろうと思い、目を閉じた。
すると
「今洗濯機回しよろーも、何でも聞こえるんやからね!」
・・確かに僕は洗濯機を回していたが、浪人生ではないので無視。
階段を下りてくる声が聞こえた。
駐輪場で何か奇声を発した後、自転車が倒れる音がした。
そして静寂。
朝の授業が始まるので外へ出ようとしたら、
ごみがまかれていた。主に使った後のティシュ。
怖かったけど、授業があるので家を出た・・が
教科書を忘れたので引き返した。

上の部屋の窓から顔を出す中年の女性。
強面。怒り狂ったように僕に話してきた。
「あんたしたの人ね?」ごまかすこともできたが、
「そうですが」と答えた。
「あんた、うるさいんよ。隣の部屋の女の子と話し合ってから・・」
・・隣の女の子?何のことだ?
「そこの茂みに隠れとる!」
しばらくかみ合わない会話が続いてから、僕の隣の部屋に住んでいる
大家の息子が出てきた。
おばさんは消えていた。隣人の彼女と見える人が掃除をしてくれた。

それからも夜中家に帰ると、おばさんが
僕の部屋を懐中電灯で見ている姿を見たりした。
上から毎日大音量でクリスマスソングが流れてきた。
それはそれなりに楽しんだけど。

それから数日後。
夜中。4時くらい。
ドーン!という音とともに目が覚めた。
また上から声がする。
「あんた!出てこんね!」
きれた。
日頃まったく怒らないけれど、不条理な怒りは怒りで返す。
「なんだよ!」
彼女の話をまとめると、僕がわざと騒音を出しているのではないかということ。
1.おばさんの隣の女の子と共謀して、おばさん側の壁にボールを投げつけあっている。
2.僕がおばさんの部屋に水の音のする機械を仕掛けたこと。
3.僕が女の子を連れ込んでセックスしていること。
4.K大学の生徒は信用ならんとのこと。

・・全部でたらめだ。
1と2は、するわけがない。するメリットがない。
3は、おそらく、当時好きだった女の子を、部屋に呼んで告白したけどふられたので
お茶を振舞って帰したというしょっぱい日のことだと思う。セックスなんて・・できるか!
4は、僕はK大学を落ちたS大学の生徒ですというと、なぜか和やかな雰囲気になった。

しばらく話し込み、途中からおばさんの隣の女の子も顔を出し応酬。
ベランダのない部屋から身を乗り出し話した。
埒が明かないので、「だったら出て行けよ。」と言った。
すると捨て台詞「ヤンキーの息子が!週刊誌に訴えるけんね。」
ヤンキー?・・の息子??
それに訴えるなら裁判所だろう。
と思いながら朝を迎えた。
おばさんの動きは早く、すぐに引っ越した。

その話には後日談がある。
落ち着いて、もうおばさんのことなど忘れた頃、
大学から部屋へ帰る途中。
アパートの前に見慣れない車が。
僕が近づくと、
全速力で僕に向かってきた。
とっさによけた、わけが分からずに、
部屋へ駆け込む直前。
振り返ってみたその顔は、
そのおばさんであった。

それからはもう何も無かったけれど。

おそらく、精神的に少しおかしくなっていたんだと思う。
おばさんが一人で、大学生の一人暮らし用としても決して
ランクの高くない部屋に一人。
それは、おかしくなるだろう。
友達も、恋人もいない、仕事もない。
それは、悲しいことだろう。

僕は、ああはならない。
現代の社会が、多くの妖怪じみた人間を作り出していることを知ってる。
でも、僕はなりたくない。。