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TO BE FREE

〈自分になる〉ために

僕にとってもっとも大切な場所がここにある

  好きな音楽って誰しもありますよね。
ジャンルまるごと好きだったり、好きな時代があったり、
おそらくは、漠然とした「好きな雰囲気」があって、
その範囲に入れば好きな曲がいくつもあるという感じでしょうか。

 

では、自分にとって決定的な1曲ってありますか?
ほかのどの曲でもダメで、その曲でなければならない、
自分にとって唯一な曲

 

僕は、そんな曲と22歳のときに出会いました。
それまでも音楽は好きで、何百曲、あるいは何千曲と聞いてきたと思いますが、そのすべてが吹っ飛ぶくらいの出会いでした。

 

その曲が
湯川潮音さんの「3:15」という曲なんです。
インディーズレーベルからでている「逆上がりの国」というアルバムの1曲目の曲です。 

逆上がりの国

逆上がりの国

 

 

 

この曲がなぜこんなにも僕の心を打ったのか、それは今でも分かりません。ただ、僕がこの曲を聞いていた当時は、ちょうど上京してすぐで、しかも初めて社会人になったときでしたから、気持ちが不安定だった時期だったんでしょう。僕は会社にいく前に、ほぼ必ずこの曲を聞いてからうちを出ました。

 

この曲に勇気をもらえたとか、そんなわかりやすいことではないんです。ただ、この曲に何か大きな秘密が隠されていて、僕はそれを知りたくって聞いていたような気持ちでした。

 

今日、久しぶりに「3:15」を聞いてみました。
最近は音楽自体から少し遠ざかっていたんですが、自宅の机で仕事をする機会が増えてきたので、思い立ってCDプレイヤーをつけたんです。

遠くから少しずつ聞こえてくる高音、つづいてベースが響き、そして湯川潮音さんの声が。

 

ああ どこで座っているんだろう
この四角い小さな部屋?
おんぼろの車の下?
怪物の口の中?
無限大の荒野の果て?

 

その声を聞いた瞬間、僕の気持ちは”今までとは違う”場所に飛んでいってしまいます。そして少し泣きそうになった。

 

あれからもう10年以上が経ちます。
それでも、この曲を聞くと当時の気持ちがよみがえってきます。

 

なにもわからなくって、わからないことを自覚していたあの頃
今は、わかるふりはできるようになったけれど、実はそんなに変わっていないのかもしれません。

 

みなさんにとって、もし唯一の曲があるのなら、
そしてその曲をしばらく聞いていないのであれば、
今すぐにCD(あるいはレコード?)をひっぱりだして、そして家族に見つからないようにして、そっとそっと聞いてみましょう。

 

そこには、おそらくは僕たちが、僕たちである理由が隠されているのです。