読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

TO BE FREE

〈自分になる〉ために

天才的な仕事は「規則正しい習慣」が作る

いやー、また面白い本を手に入れてしまいました。

メイソン・カリー著「天才たちの日課」 です。

天才たちの日課  クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

 

 

まずは、本の紹介文を引用します。

 古今東西の小説家や作曲家など、161人の天才と呼ばれた人たちが、偉人たちも、いや偉人たちこそ、最高の仕事をするために、毎日どう時間をやりくりし、どう過ごせば創造性や生産性を高められるかを悩んでいました。彼らはどう解決していたのでしょうか。そのヒミツは日常のごく平凡な小さな積み重ねにあったのです!

 

 本書では、古今東西の小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督など161人の天才たちの、これまで見過ごされてきた「仕事の周辺」に注目。起床時間、就寝時間といった毎日のスケジュール、部屋での様子や生活信条、仕事の際のクセやこだわり、嗜好品をまとめることで見えてきた、知られざる素顔や意外な事実は、驚きとともに、創造的な活動を続けるための秘訣に値する手がかりが満載でした。

 

という内容の本です。この本では、何をすれば天才的な仕事ができるか?という分析をするものではありません。ただひたすらに161人の日常の積み重ねを淡々と記述しています。それがとてもおもしろいんです。

 

副題の「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」とあるように、いわゆる天才と呼ばれる人々でも、日常生活は意外なまでに普通。そして規則正しい。

僕の場合は書くことを仕事にしたいので、どうしても作家の日常が気になりました。

今日は作家を中心に、いくつか紹介します。

 

まずは詩人のオーデンから。

オーデンは「その日のうちにやりたいこと、やらねばならないことを決め、それを毎日必ず決まった時間にやる。そうすれば欲望に煩わされることはない」と言っています。

午前六時過ぎに起き、コーヒーをいれると早速仕事を始める。そして午前7時から11時半までの、頭が最も冴えている時間帯に集中して仕事をし、昼食後に仕事を再開して、夕方まで続けるという日常を続けていたとのこと。

 

夜型生活の人もいて、アメリカの作家トーマス・ウルフの場合はこんな感じ。

ウルフはたいてい夜十二時ごろに仕事を始め、「大量の紅茶やコーヒーを飲んだ」とある伝記作家は書いている。自分の背丈(身長が二メートル近かった)に合った椅子と机がどうしても見つからなかったので、いつも立って冷蔵庫を机がわりにして書いていた。そのまま夜明けまで書きつづけるが、途中で何度か窓辺でタバコを吸ったり、アパートのなかを歩きまわったりする。夜明けに一杯飲んでから眠り、朝の十一時ごろに起きる。

 

すごい。立って書くという発想はなかったです。

夜は眠くなってしまうので、どうしても文章を書けなくなるんですが、立って書くって一度やってみようかな。

 

次はパトリシア・ハイスミスの場合。

リラックスして仕事をしやすい精神状態にもっていくためにハイスミスがいちばん気に入っていた方法は、ベッドの上にすわり、タバコと灰皿、マッチ、コーヒーの入ったマグカップ、ドーナッツと砂糖を盛った皿などをまわりに置いておくことだった。規律や自制といったものをいっさい退け、書くという行為をできるかぎり楽しいものにしなければならなかった。まるで胎児のような姿勢で書くことによって、彼女の言葉によれば〝自分の子宮〟を作りあげようとしていたのだ。

 

書くという行為をできるかぎり楽しいものにするのは、本当に大事だと思います。

先日、以下の記事に書いたとおり、執筆環境を整えたのですが、これだけでも全然違ったんですよ。まだまだ”自分の子宮”というレベルではないですが、執筆環境はもっとこだわっていきたいです。

 

yoshkob.hatenablog.com

 

次は作家ではなく作曲家から。

ベートーヴェンです。

僕は肖像画のイメージから、ベートーヴェンさんを気難しい人だと思っているのですが、日常生活もイメージどおりでした。

ベートーヴェンは夜明けに起きて、ほとんどすぐに仕事を始めた。朝食はコーヒーで、細心の注意を払っていれた──一杯につき、豆六十粒。正確を期すために一粒ずつ数えることもよくあった。

 

豆六十粒(笑)

細かすぎて笑ってしまいますが、これも大事な儀式だったんでしょうね。

もし適当にコーヒーを淹れてしまったら、

「あれ、63粒だったかもしれない…」って気になり始めて仕事にならないんでしょう。きっと。

 

天才と呼ばれる人って、生活が破綻しているような印象を持たれがちですが、実際は違うようです。ただ、決めた習慣にこだわって継続するところに、ある種のクレイジーさを感じます。

 

さて、161人全部紹介しきれないので、最後に、フローベールの章から引用します。

 

ときどき、疲労のあまり、腕が抜けてしまうのではないか、脳が溶けてしまうのではないか、と思うことがある。私は禁欲的な生活を送り、薄っぺらな快楽を退けている。これを維持していけるのは、一種の興奮状態が続いているからだ。そのせいで、ときには自分の無能さに泣けてくることもあるが、興奮が冷めることはない。私は自分の仕事を、狂おしく、倒錯的に愛している。

 

仕事は苦しくて辛いものです。クリエイティブな仕事であっても。

仕事への愛があればこそ続けられる。

まずは仕事を愛したいですね。